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2019.06.03 | 会計・税務

会社設立Q&A-「資本金」の決め方

会社を設立するには、社長が個人として「資本金」というお金を出資する必要があります。この「資本金」、法律上は「1円」でもよいこととなっていますが、「いくらを出資したらよいのか?」迷ってしまうお客様も多いんです。今回は会社を設立する際の「資本金」について、考えてみたいと思います。

「資本金」と「借入金」はどう違う?

資本金は、株主が会社を作るときに「出資」する金額です。「出資」とは「返さなくてよいお金を預ける」という意味です。たとえば株式会社を設立する場合、社長が100万円を資本金として会社に出資すると、会社はその100万円を使って事業を行うことができます。このお金は元々社長のものですが、会社に出資した時点で「会社のもの」になり、後々「返してほしい」と思っても会社には返す義務がありません。

これに対して「融資」は「お金を貸すこと」であり、借りた側にとっては「返さなくてはならないお金=借入金」ということになります。

先程も書きましたが法律上、資本金は「1円」でも問題ありません。かといって、いくらにすればいいのでしょうか?ここからは「資本金」の金額を決めるときに参考になる基準を3つご紹介します。

①設立時に必要なお金の3割以上は自己資金とする

会社設立時や事業をはじめる際には、「必要資金」を計算します。「必要資金」とは「事業を始めるための設備投資に必要なお金と売上が安定するまで、経費の支払いに充てるお金(目安は3か月程度)の合計金額です。事業をスタートには、まず最初にこの「必要資金」を準備しなければいけません。個別のケースにもよりますが「借入金」と「資本金」のバランスは、最も多く借り入れをする場合でも「借入金:資本金=7:3」がよいと考えています。

 

借入金は先述のとおり、「返さなければならないお金」です。事業スタート時の借入金額が大きくなりすぎると返済が追いつかず、事業失敗(=倒産)という事にもなりかねません。反対に資本金(個人の資金)をより多くできれば、後々返済する借入金の金額が減りますので、当然ながら資金繰りはより安定しますよね。事業を早く軌道に乗せるためにも、スタート時の「必要資金」の3割以上は「資本金(個人の資金)」で準備することを目安にするとよいと思います。

②「資本金」が1,000万円を超えると税金が高くなる

会社の「資本金」の金額に応じて税額の金額が変わる税金があります。それは、都道府県や市町村に支払う「均等割り(きんとうわり)」という税金です。

たとえば長野県長野市に事務所がある会社の場合には、「資本金」の金額が1,000万円以下の場合、この均等割りの金額は年間およそ7万円ですが、1,000万円を超えると年間税額は約20万円となります。資本金の金額だけで年間13万円も納める金額が変わることになります。そのため、ほかの制約がない場合は、資本金を1,000万円以下に抑えることが得策です。

 

それでは「資本金」が1,000万円を超えそうな場合、どうしたらよいのでしょうか?方法の一つは「役員借入金(社長個人から借りたお金)」として処理するというものです。

たとえば事業資金として、個人で1,300万円を準備した場合、全額を会社の「資本金」としてしまうと「均等割り」が高くなってしまいます。そこで1,300万円のうち、1,000万円は「資本金」、残り300万円は「役員借入金」とすることで、ムダに均等割りを高く支払うことなく、個人のお金を会社の事業に投入することができます。

③「資本金」はいわゆる「見せ金」ではない

会社設立をする際、お客様から受ける質問で意外に多いのが「資本金って、一度会社の通帳に入金したら、また個人に戻していいんだよね?」というものです。このご質問の答えは「NO」になります。

先述しましたが、「資本金」は会社にとって「返さなくてもよいお金」です。たとえば「資本金」300万円で会社を設立した場合、出資した時点でその300万円は「会社のお金」となります。たとえ会社のオーナーである社長であったとしても、そのお金は個人として利用することはできないのです。出資後の生活費など、個人の資金繰りも考慮にいれましょう。

 

いかがでしたでしょうか?会社の資本金の金額は、その会社ごとの事情によることも多いですが、今回ご紹介した基準などを参考にしていただければと思います。

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