経営者からよく聞く悩みがあります。
・「経理がごちゃごちゃしていて何がどこにあるかわからない」
・「忙しくて経理が後回しになる」
・「売上はあるのにお金が残らない」
実はこれらの原因は、**会社の規模や業種に関係なく“経理がごちゃつく会社が持つ共通点”**にほぼ当てはまります。
この記事では、社員10名未満の製造業・デザイン事務所・Web系企業など“小規模企業”によく見られる、経理が乱れる5つの共通点と、すぐに改善できる具体策を解説します。
経理の整備=面倒な作業ではなく
**「利益・キャッシュを生み出す経営の基盤づくり」**です。
小規模企業の経理がごちゃつく最大の原因がこれです。
・領収書は紙・封筒のまま
・請求書はメール・チャット・PDF・紙でバラバラ
・経費精算はLINEでポンと送られる
・売上情報はExcelにあるが最新かわからない
・見積は別フォルダ、受注管理はまた別アプリ
このように情報が散らばっている状態だと、
経理担当者がどれだけ頑張っても “正確な数字が早く出てこない” のは当然です。
ポイントは 「情報の一本化」 です。
・請求書はすべてクラウド管理(メール提出禁止)
・経費精算はチャット提出NG、ツールに統一
・紙の領収書は画像でアップしてもらう仕組みを作る
・受注・売上管理は一枚の管理シートにまとめる
情報が一つの流れに乗るだけで、
経理のスピードも精度も一気に上がります。
小規模企業では「事業用の口座が複数」「誰かの個人カードで支払い」などがよくあります。
・社長名義のカードで決済
・事業用とプライベートの口座が混在
・法人口座が3つ以上
・カードが4枚以上あり管理しきれない
これでは、お金の流れが複雑になるのは当然です。
答えはシンプルです。
事業口座は1つ、法人カードは1〜2枚に集約する。
(※事業規模が小さいうちはこれで十分)
さらに、
・プライベートの支出を会社口座で払わない
・会社のお金を個人口座に移すときは必ず記録する
など基本ルールを徹底するだけで
経理業務の半分は軽くなります。
よくあるのが、
・似たような経費が「雑費」に全部突っ込まれる
・仕入と外注費の区別が適当
・固定資産か経費か判断基準がない
・他のスタッフが入力すると分類が変わる
という状態。
これでは正確な管理ができないだけでなく、
月次の数字から経営判断ができなくなります。
科目のルールを作り“会社内で統一”する。
・10万円以上は固定資産
・SaaS系は通信費 or 情報サービス費に統一
・機材購入は「備品費」、消耗品は「消耗品費」
・広告費・業務委託費の線引きを明確にする
など、細かいルールを文書化するだけで
分類の迷いとブレがなくなります。
小規模企業に多いのは、
・経理が社長の奥様
・パートの経理担当が辞めたら何もわからない
・社長だけが数字を把握している
・入力ルールやフローが頭の中だけにある
といった“属人化の落とし穴”。
この状態で担当者が1人でも抜けると、
会社の数字が数ヶ月止まることすらあります。
属人化の解消は 仕組み化=型化 です。
・入金・支払・領収書の流れを図にする
・月次のチェックリストを作る
・担当者が変わっても同じ手順で動けるようにする
・データは全て共有フォルダに保存
・社長だけしか見れない状態をなくす
経理は“ブラックボックス化”するほど危険。
透明化することでミスも減り、改善もしやすくなります。
経理がごちゃつく会社ほど、
月次決算(毎月の数字)が遅れる傾向があります。
・毎月の締めは2ヶ月後…
・半年分をまとめて処理
・現金残高が合わない
・売掛金・買掛金が最新かわからない
これでは、経営判断がすべて“後手”になります。
月次が遅い=会社がどこで儲けているか見えていない
ということです。
目標は “翌月5営業日以内の月次締め”。
ポイントは3つ。
1.現場→経理の情報提出期限をルール化
2.支払いスケジュールを固定化(15日と末日のみ)
3.毎月のルーチンをテンプレ化する
すると、現場が「締め日」を意識するようになり
経理の流れがスムーズになります。
経理が混乱する会社には共通点があります。
1.情報が散らばっている
2.口座・カードが多すぎる
3.科目がバラバラ
4.属人化している
5.月次が遅い
これらはどれも
ツールの問題ではなく、仕組みの問題です。
逆に言えば、仕組みを整えれば
会社の規模に関係なく経理はスムーズに回ります。
税理士 松橋丈雄
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